薬草の思い出

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祖母の薬をもらいに、昔からお世話になっている薬屋さんに行った。
商店街にある老舗の薬屋さんで、内装も古めかしいが良い味が出ている。
そこに漢方の入った瓶が、たくさん並んでいるのを見つけた。
私はこの薬草を見ると、必ず思い出すことがある。
私の地元は田舎である。通学路には田んぼがあり、畦道を近道だといって歩いて帰った。
小学校には子供たちが遊ぶための裏山があった。そんな地域だった。
その小学校では毎年夏休み前になると、ある一枚のプリントが全員に配られた。
「小学校の児童会の資金にしますので、薬草を取って9月1日に学校に持ってきてください」というものだ。
そのプリントには、薬屋さんに売るための薬草のリストが乗っている。
ドクダミやヨモギ、蝉の抜け殻やヘビの抜け殻なんていうのもあった。
それで暑い中、保護者たちは家の周りに生えているドクダミやヨモギなどを刈る。
そのままでは保存できないので、束にして軒下に吊って乾かす。
私たちも近所の神社や森に行って、蝉の抜け殻を袋に大量に採ってくる。
そして9月1日に、みんな袋に一杯の薬草や抜け殻を持って行くのである。
皆が持ってきた薬草類は、体育館の一角にブルーシートを敷き、そこに集められた。
各自で体育館へ持っていく。ブルーシートの上には軽トラック山盛り3台分くらいの量のドクダミやら蝉の抜け殻やら。
熱気でムンムンする体育館の中に、薬草と蝉の抜け殻についている土の乾いた匂いが広がっている。
ここにいるだけで健康になれる気がするくらいで、20年以上たった今でもその光景と匂いを覚えている。
これが全部ラインタイムラインとは人が飲めるように加工されるのか。そう思うと少し怖かった。
蝉の抜け殻を煎じて飲んでいるのは魔女か仙人くらいのものだと思っていたのである。

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